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電解質 vs 水:ランナーに本当に必要なのはどっち?

電解質 vs 水:ランナーに本当に必要なのはどっち?
Calc Run Team·

ランニング中にしっかり水を飲んだのに、後半に脚がつったり、頭がぼんやりしたり、かえって吐き気がした経験はありませんか?

水を飲んだのになぜ体の調子がおかしくなるのでしょう?原因は意外とシンプルです。水が足りないのではなく、電解質が足りないのです。

この記事では、電解質がランニング中にどんな役割を果たすのか、なぜ水だけでは不十分なのか、そしていつ何を飲むべきかをお伝えします。

電解質とは?

電解質(Electrolytes)とは、体液に溶けて電気を帯びるミネラルのことです。ナトリウム(Na)、カリウム(K)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)などが代表的です。

走って汗をかくと、水だけが失われるわけではありません。これらの電解質も一緒に失われます。特にナトリウムは汗1リットルあたり500〜1,000mgが失われます。

電解質は以下の役割を果たします:

  • 水分バランスの維持:細胞の内外に水を適切に分配します。
  • 筋肉の収縮:筋肉が正しく収縮・弛緩するにはナトリウムとカリウムが必要です。
  • 神経信号の伝達:脳と筋肉の間の信号は電解質を通じて伝達されます。
  • 血圧の維持:特に長距離ランニングで血圧を安定的に保ちます。

水だけ飲むとどうなる?

水を過剰に飲みながら電解質を補給しないと、血中のナトリウム濃度が低下します。この状態を低ナトリウム血症(Hyponatremia)と呼びます。

症状は以下の通りです:

  • 頭痛、吐き気
  • 筋肉のけいれんと急激な疲労感
  • 重症の場合は意識障害、けいれん発作、意識不明

マラソンでの死亡事故の主な原因の一つは、脱水ではなく低ナトリウム血症です。水を大量に飲みながら電解質を補給しなかったケースです。

水だけ飲む場合 vs 電解質と一緒に補給する場合

数字で見ると

状態血中ナトリウム濃度結果
正常135〜145 mmol/L正常機能
軽度の低ナトリウム血症130〜135 mmol/L頭痛、疲労
重度の低ナトリウム血症125 mmol/L以下けいれん発作、意識不明のリスク

研究結果

ボストンマラソン研究(2005年、NEJM)

ボストンマラソン完走者488人を検査した結果、13%が低ナトリウム血症の状態であり、そのうち0.6%は深刻なレベルでした。

低ナトリウム血症のリスクが最も高かったのは、遅いランナー(完走タイム4時間以上)と体重の軽い女性ランナーでした。レース中に体重が増加したランナーは水を飲みすぎており、低ナトリウム血症の発生率が著しく高くなっていました。この研究は「喉が渇いたときだけ飲め」という現在の水分補給ガイドラインが作られるきっかけとなりました。

国際スポーツ栄養学会ジャーナル(2021年)

ナトリウムを含む飲料を摂取したランナーは、水だけを飲んだランナーと比べて持久力運動中のパフォーマンスが有意に高く、けいれんの発生率も低いことがわかりました。

いつ水?いつ電解質?

すべてのランニングで電解質が必要なわけではありません。運動時間と強度によって異なります。

状況おすすめ
60分未満のランニング💧 水で十分
60分以上のランニング⚡ 電解質が必要
暑い日・湿度の高い環境⚡ 電解質が必要
レース当日⚡ 電解質が必要

水で十分な場合

  • 60分未満のランニング:汗で失われる電解質の量が少なく、水だけで十分です。
  • 涼しい天候:発汗量が少ないと電解質の損失も少なくなります。
  • 軽いジョギング:強度が低いと汗も少なくなります。

電解質が必要な場合

  • 60〜90分以上のランニング:ナトリウムの損失が蓄積され始めます。
  • 暑い日や湿度の高い環境:発汗量が急増し、電解質の損失も大きくなります。
  • レース当日:特にハーフマラソン以上の距離では必ず電解質を補給しましょう。
  • 脚がよくつる場合:マグネシウムとカリウムの補給が助けになります。

何で電解質を補給する?

スポーツドリンク(ゲータレード、ポカリスエットなど)

手軽でアクセスしやすいですが、糖分が多いためトレーニングよりレース当日に適しています。レース中はエネルギーと電解質を同時に補給できるので便利です。

注意:低強度のトレーニングで毎回スポーツドリンクを飲むと、不要なカロリー摂取になります。

電解質タブレット・パウダー

糖分が少なく電解質含有量が高いため、長距離トレーニングに適しています。水に溶かして飲むか、カプセルで摂取します。Nuun、Liquid IVなどが代表的です。

食事で補給する

レース前日と当日朝の食事でナトリウムを含む食品を摂るのも効果的です。

食品ナトリウム含有量
プレッツェル(ひとつかみ)約500mg
チキンブロス(1カップ)約900mg
ピクルスジュース(60ml)約500mg
バナナ1本カリウム422mg

マラソンランナーの間でピクルスジュースがけいれん予防に効果的だと知られるようになり、レース中にピクルスジュースを持参するランナーも増えています。

自分の発汗量を確認する方法

人それぞれ発汗量は異なります。自分の水分損失量を把握すれば、より正確に補給できます。

スウェットレート(Sweat Rate)の測定法:

  1. ランニング前に体重を量る(kg)。
  2. ランニング後に体重を量る(着替えた状態で)。
  3. 差 × 1,000 = 失われた汗の量(ml)。

例えば、1時間のランニング後に体重が0.8kg減っていれば、800mlの汗をかいたことになります。ここに飲んだ水の量を足すと実際の発汗量になります。

体重がランニング前より増えていたら?水を飲みすぎています。低ナトリウム血症のリスクがあるので注意してください。

喉の渇きを基準に飲もう

水分補給で最も重要な原則は「喉が渇いたら飲む」ことです。

以前は「渇く前に先に飲むべきだ」という指針が広まっていましたが、現在のスポーツ医学の主流意見は異なります。渇きの反応自体が非常に精巧な水分不足のシグナルであるため、渇きを感じたときに飲むのが最も安全で効果的です。

一定間隔で無理に水を飲み続けると、かえって過水分状態(低ナトリウム血症)になる可能性があります。

まとめ

  • 汗をかくと水と一緒に電解質(特にナトリウム)も失われます。
  • 水だけを過剰に飲むと低ナトリウム血症が起こる可能性があります。
  • 60分未満のランニングは水で十分、60分以上なら電解質の補給が必要です。
  • 暑い日、長距離レース、脚のけいれんが頻繁な場合は電解質ドリンクやタブレットを活用しましょう。
  • 喉が渇いたときに飲むのが最も安全な水分補給法です。

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